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最後にアマチュアC級ラテン競技会です。ダンスは芸術だと思います、絵画や写真と同じでその人の人間性やバックグラウンドが見え隠れするものだと思います。
アマチュア競技会の良い所は、色々な職業の人が踊っている、色々な人生経験を積んだ人が表現している所に魅力が有るのだと思います、私は自分とは違う感性の人が表現する物にとても興味が有ります。技術的に見たら専門家であるプロにかなうはずが有りませんが表現はそれがすべてではないと思います、テクニックや理論は表現する為の手段でしかありません、ダンスの狭い世界しか知らない人よりもっと奥深い表現がきっと出来る筈です、私達には表現する手助けは出来ますが、人生経験豊富な諸先輩方にはダンスを通じて日本という国を次世代に伝えてくれたらな、と思っています。1週間にわたって審査をしてきた感想を書いてきましたが次回から「回想編」に戻りたいと思います。
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続いてプロフェッショナルB級ラテン競技会です。
この頃は夢を沢山抱いている、そんな時期なのではないでしょうか?これからの将来像を想像しながら胸をときめかせている選手達を見ていると応援したい気持ちになります。ただ実際には審査員として順位を付けなくてはいけない非情な立場なので、心を鬼にして審査することになりました。結論から言うと「みんなもっと踊る事を楽しもう」そんな気持ちになりました。音楽を聴いて体を動かせる幸せ、人前で自分を表現できる喜び、観客の前で踊れるって事は素晴らしい事で特別な事だと思いませんか?恵まれた環境にいるのだって事を体一杯使って表現してくれたら、観ている人も幸せな気分になれると思う。競技会ってひのき舞台だと思うのです、そこで幸せを感じる為に日々の辛いトレーニングや練習が有るのだと思います。次回のB級戦は出場選手全員が自信に満ち溢れ、踊れる喜びを全身で表現してくれる事を期待したいと思います。

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そして実際、当日別紙に書きこんだ点数表です。 今回一番悩んだ事は同じ点数を付けられない事。しかも比較ではなく個別に判断して点数を付ける事。これを矛盾と感じたのは経験の無さから来るものなのでしょうか?今回は順位を付けるという最大の責任を優先して、個別の評価より低い点数を付けざる得ないカップルが出来てしまいました。そして結論としては今回の私の審査は芸術点重視の審査になりました。もし技術点と芸術点の価値を同等にしていれば別の判断になっていましたが、高い芸術性を発揮するのもまた技術だと思います。そう自分に言い聞かせながら次回は併催されたプロフェッショナルB級ラテンとアマチュアC級ラテンについて書いていこうと思います。
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それでは当日の私が何を基準に点数を付けたのかを公開したいと思います。まだ自分が選手だった頃、一番知りたかった事なので今回あえて書くことにしました。
私のショーダンス審査基準
技術点
ダンサーの持っている技量、クオリティー、特にショーダンスは比較的短時間で作品に仕上げていく技量が必要で、観る側の私が作品を集中して楽しめる事が出来るなら(違和感が感じられなければ)充分に高い技術を持っていると判断しました。
芸術点
1・振り付け
音楽を表現するのに適した振付か? 振付師の意図を充分に汲んでいるか?
振付師とのコミュニケーションがかなり左右する項目なのかな?と解釈しました。もし自分で制作しているのであれば、自分の能力がそのまま反映される項目だと思います。振付の善し悪しで審査すると踊り手の審査では無くなってしまうので、振り付けの解釈と捉えました。
2・振り付けと音楽の関連性
一つ一つの振付が音楽に関連したものかどうか? 何故その場面でその振付なのか理解しているか?そのステップや振付が持っている意味をどれだけ観客に伝える事が出来るか?を判
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聞いておけば良かった事、それはそれぞれの項目のバリュー、いわゆる比率です。
私達審査員に与えられた制約は同じ点数を2組以上に付けてはいけない事、すなわち順位を決めなくてはいけない事でした。今回、感じた事は全員が踊り終わってからオープンマーク(旗揚げ)するまでの短い時間のなかで、単純に足し算で順位を決めて良かったのか?確かに僅差ではあったけれど合計点に順番が付きました、ただ各項目の比重に違いが有ったなら結果は全く別の物になっていたと思います、後で見たラルフのマークは私の考えに近いものでしたが順位は全く違ったものになっていました。
今回はショーダンスの審査の難しさを痛感した一日になりました。ただ今回経験した事はきっとこれから審査員を続けていく上での財産になると思います。反省と後悔の繰り返し、競技をしている時も、審査をするようになった今でも競技会後の夜は中々寝付けません、いつの日か気持ちよく眠りに付ける日が来るといいな。次回はさらに詳しく書こうと思います。
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世界ショーダンス選手権の日本代表を決めるこの大会、私が代表に選ばれたのが9年前の2001年でした。
わずか9年で選ばれる側から選ぶ側に立場が変わり、初めてのショーダンスの審査で、コーチャーであるラルフと共に審査出来た事は、本当に素晴らしい体験をさせて頂きました。 ラルフ曰く「ショーダンスの審査は難しい」 彼が事前に用意した用紙には審査項目を細分化した表が書き込んでありました。さすがラルフ、尊敬しなおしました。引退してから、事有る毎にどのように審査をすれば良いかのアドバイスを沢山頂きました、今回も彼にならって審査に臨む事にしました。項目は技術点、これはダンスの技術的品質、そして芸術点、こちらは細分化され1振付 2独創性 3音楽との一体感 4音楽との関連性 5テーマとの関連性 6パフォーマンス。今回私はこの項目別に20段階で点数を付けその合計で順位を決めたわけですが、ラルフに聞いておけばよかった事が順位を付ける時になって見つかりました。
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先日4月18日にホテルイースト21に於いて統一全日本ショーダンス選手権と併催JDC東部総局競技会が開催されました、審査員として参加したこの大会の感想を今日から毎日1週間にわたってアップしていこうと思います。
まず初めに、アマチュアD級スタンダードを審査しました、種目はワルツとスロー・フォックストロットの2種目。3月28日に続き今回もこのクラスを審査しました、前回のテーマはフットワークとレッグアクション、1か月弱でのレベルアップは期待できないので、今回は上半身のシェイプを審査テーマに加えて見ていきました。プロの競技会であれば体のラインも日頃の練習で鍛えていくものですが、アマチュアの場合そこまでストイックな審査は出来ないので、個人の体型ではなくカップルの位置関係、ステップの理解度から来るポジションの変化に重点に置きました。結局シェイプの乱れる所は間違ったフットワークであったりするので、もしあなたが踊っているフィガーのアライメントに正しく進んで行けないならば、間違った箇所があると言う事を理解して下さい。 「急がば回れ」 と言うように、全体の見栄えだ
谷堂組引退パーティーのフォーメーション振付奮闘記4
テーマが決まってしまえば振付の50%は完成です。ここからは曲の持っている音楽性をメンバーで共有する為のカウント(タイミング)を数えます。
この曲は3拍子と4拍子が入り混じり、小節も変則的なので苦労しました。後は見せ方、例えば作品を見せるのか?キャストを見せるのか?例えばミュージカルのキャッツを見るときには作品自体に価値がありキャストはさほど重要ではありませんよね、それとは逆に熊川哲也のバレエを見に行こうと思えば、演目はさほど重要ではなく、彼が踊る事に意味があります。今回の私の選択は後者、映画の中に出てくるような衣裳でジャックスパローなどに成りきるような作品重視ではなく、まったく別物になるようなキャスト重視のものでした。
最後にメンバーのモチベーションが上がり最高のパフォーマンスが発揮できるような構成を模索し、当日の会場のお客様も、後日ビデオで楽しむ方々も両方が満足いくようにカメラの位置を想定しながらのフロアークラフトの地図を書き、練習初日を迎えました。
後はさすがベテランダンサー、皆の力を借りてさらに膨らんでいくイメージをしっかり形に変え
谷堂組引退パーティーのフォーメーション振付奮闘記3
まずショーの構成リストとメンバーのリスト、流れを見てみるとそこからわずかながらテーマが見えてきました。
私が感じたテーマは谷堂組のショーダンス、それにそった選曲がされている事、ラテンは大村先生振付のオープニングチーム、二宮先生振付の現役ファイナリストチーム、嶺岸先生振付の谷堂組のショーダンスにつながるチーム、それに私のチーム、最後にチャンピオン大村組、二宮組、嶺岸組のトリオと桑原組、玉置組のデュエットのチームでした。前後の繋がりとしては、前にショーダンス「酔っ払い」、後は現役モダンチャンピオン2組の共演。
文章に起承転結があるように、ショーにも場面展開が必要だと思っています、予想ではオープニングはオープニングらしいもの、続く現役ファイナリストのチームはエネルギッシュなラテンらしいもの、谷堂組のショーにつながるチームがあるので私のチームは谷堂組のショーとは無関係にする事、直前が「酔っ払い」の演技ものだと言う事で演技ものも除外しました、チャンピオンのチームはカッコがいいものはず、色々悩んだ結果、私が下した決断は「幻想的なシーン」にするという事で
谷堂組引退パーティーのフォーメーション振付奮闘記2
まず初めに曲を聴きながら色々な展開を想定してダンスを想像します、谷堂組のショーダンスを想像させるもの、映画パイレーツ・オブ・カリビアンをモチーフにしたもの、海賊を想定したもの、幻想的なもの、ドラマティックなもの。
どのような衣裳にするか、舞台を想像しながらフロアーをどう使うかなど色々考えながらスクラップ&ビルトを繰り返し、それと同時にショー全体の中にどのような場面を提供するかも考慮に入れなければなりません。大事にしたい事は、全体が素晴らしいショーなるようにバランスを考える事です。1人の振付師が全体のバランスを取りながら制作するのと違って、通しリハーサルまでどのようなショーになるか想像の中の物でしかありません、同じような流ればかりだと単調でつまらないものになりかねません、自分の作る作品とは別に他の振付がどのような感じになるかも想像しながらの作業は簡単な物ではありませんでした。