知識と経験が不可欠な世界
9月26日に行われたジャパンオープン選手権ラテンの審査を担当しました。
審査員として審査方法の指針は人それぞれ有ると思いますが、教本の著者でもあるレアード氏はミュージック(2割)、シェイプ(2割)、ムーブメント(2割)、カリスマ(2割)、テクニック(1割)、振り付け(1割)の6項目(10割)を上げています。
現状、競技ダンスの審査は主催者より審査を依頼された段階で、その大会を審査する能力があると信任され、審査方針は各審査員に一任されているので、自分の経験と知識を元に自由に審査が出来るようになっています。 今回は国際大会で日本の審査員として臨んだ大会なので、同じ環境にいる国民として、日本の選手にアドバンテージを持たせたいと思っていました。
絶対音感ならぬ絶対タイミングは確かに良いけど、多少のズレはわびさびで、味としてとらえる事が出来るので音楽性は互角。シェイプは海外の選手の美しいシルエットにアドバンテージはあるけれど、負けていない日本のカップルもいます。ムーブメントは質がはっきり表れるもので、この分野はちょっと厳しい部分でもありますが、カリ
才能のある選手達へのメッセージ
鳥肌が出るダンスに出会うことは幸運です。ただ、長くこの世界にいると要求が高くなるのか出会いが遠退くようです。それでも予想を超えたパフォーマンスや踊りと音楽の限りない調和は感動を呼びますよね。
過去の定説や常識を覆す時代の先駆者達。偶然か?もしくは努力の結晶か?どちらにしてもそれが受け入れられたかどうかはその時には分らないことだったでしょう。
偶然の産物は天才に任せるとして、歴史もしくは教科書は、今の常識を覆す為にまず何故それが常識になったのかを考える為に有るのだと思います。またそれが創造への道標になるでしょう。現役時代は自分の長所を伸ばす為の手段として理論を欲しました。審査員の今は、自分とは違う畑でも許容出来る為の深い知識と広い視野を欲しています。
本来、本能の物である「踊る」と言うことに理論を導入して芸術に昇華させるダンス。
芸術に必要な本能的な部分をいかにフィードバックするかが才能なのでしょうか?
才能のある選手達に期待する、今日この頃です。
「リバイズド・テクニック」を読み解いていく事
教師試験用教材ビデオのモデルをやりました。一度撮影したものは駄目出しをされ、今回の撮り直しは7時間半にも及ぶ大仕事になりました。
今回は撮影したものをその場でモニターチェックをしながらの作業になりました。
教材用なので足形はもちろん、フットワーク、回転量など画面で見て不都合が無いように進めていきましたが、実際やっているつもりでも画面で見ると分りづらいものが沢山。大げさにやっても画面越しではちょうど良く見える物もあり、はっきりいって初めはギャップに戸惑いました。特にフットワークのボール(B)とトウ(T)の違いや、クローズとインステップの違いなどは画面上で変化を付けづらく、回転量などは二人の距離や曲の速さで変化してしまうので、正規の回転量で踊るのに試行錯誤が必要でした。
教科書にはより動きやすいように欄外に補足があり、競技会ではそちらを抜け道として、特に回転量などは多めにとっていたので、かなり苦労しました。
ただオリジナルを踊る事は、制作当時の曲の速さや、カップルの距離感、それによるフットワークの特徴付けやリードの解釈など、一つ一つ謎を解き
成長の証
今回のプロフェッショナルC級ラテンはとても興味深いものになりました。
新しい選手の活躍もありましたが、ルンバで1位を付けたカップルには非常に感心しました。彼らのようにダンスに真面目に取り組んで技術的に進歩していく(私にはそう見えました)選手は希少ですが、ずっと育っていってほしいと思います。
それにしてもファイナルの選手は皆、個性的で才能も有り、こんなにワクワクして審査をしたのは久しぶりでした。
続いて関東ダンス選手権です。最近のJDC東部総局の選手権は毎回決勝のメンバーが入れ替わっている様に感じます。実力が伯仲し、ポジションのある人間には緊張感を、決勝を狙う人間には希望を与えているようです。今回も1予選から各選手が素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。観る側としては非常に嬉しい限りですね。今回は昨年優勝の加治屋組を抑えて、芝西組が初優勝しました。どちらも今後の活躍が非常に楽しみです。
審査員としての私の最高の喜びは、選手に成長の証がみられた時です。調子の善し悪しや見栄えではなく、内面の成長は本番ではなかなか見る事が出来ない事です
改めて感じた勝利の方程式
前回に続いて関東ダンスの感想を書いていこうと思います。まずはアマチュアですが、
正直なところ、アマチュアのノービス、D級、C級の試合の中でダンスに対するこだわりを見つけるのは難しいようです。ただ丁寧に踊っている選手は好感が持てます、上達の秘訣は関東ダンススタンダードの中にちりばめられていたと思います。
まず私が1位を付けたカップルは、男性の競技に対するモチベーションの高さ、丁寧さの中にも力強さが感じられ優勝に相応しい振る舞いに感じました。また女性の背中の美しさはエレガントで充分に男性を引き立てていたように思います。そして2位を付けたカップルはダイナミックで長身の利点を十分に生かし、見ごたえのあるダンスを披露してくれました。3位を付けたカップルは美しいフットワークは美しいタイミングを生み出すと言う事を改めて教えてくれました。
競技で成功する秘訣として、高いモチベーション、美しいタイミング・高い音楽性を生み出す丁寧で正確なテクニック、そして自分の長所を生かしたキャラクター付け等、アマチュア関東ダンススタンダードはとても見本になる競技会だったと